天皇陛下をご多忙にしているのは誰か

文藝春秋2011年4月号
■天皇陛下をご多忙にしているのは誰か-祭祀が減り公務が増える
宗教ジャーナリスト・斎藤吉久
今上は推古天皇以降では後亀山天皇と並ぶ、歴代5位のご長寿となられたが、ご不例後も公務は減るところか増えるばかり。
天皇千年の祈りが、今ほかならぬ側近達によってご負担軽減の美名に隠れて形骸化されようとしている。
敗戦後「皇室の私事」としてしのいできた宮中祭祀はS34年の皇太子ご成婚を契機に改善されてきたが、
S44年頃を境に再び揺り戻し。祭祀簡略化の張本人は入江相政侍従長。
S45,5月に香淳皇后から旬祭の親拝削減ついて抗議を受けたとき、猛反撃してねじ伏せ日記には「くだらない」。
しかし削減理由が「ご高齢」との記述は無し。
争わずに受け入れるのが古来、天皇の帝王学だがも、伝統より相撲観戦を優先するような
俗物侍従長の身勝手きわまる簡略化に陛下は最大限抵抗されたのでは。
祭祀王を自覚する昭和帝は「退位」を口に。
この年の入江日記からは幾度となく譲位・退位を表明されていることが読み取れる。
祭祀破壊の原因が「高齢」でないなら真因は何か。憲法の政教分離問題(当時を知る宮内庁OB)
保守派も革新派も憲法論議と言えば「九条」ばかりで第一条は考えていない。
その結果天皇はさしずめ名目上の単なる「象徴」に成り下がっている。
象徴天皇制について今上はしばしば触れられているが、(渡邉)前侍従長とはニュアンスが異なるのではないか。
前侍従長があくまで現行憲法を起点にした象徴天皇論なら、今上は歴史的背景を踏まえた、
祭祀の力で国と民をまとめ上げてきた長い歴史があるからこその象徴というお考えだろう。
昨年暮れの誕生日会見で陛下は「今のところこれ以上大きな負担軽減をするつもりはない」
頼みとする尊皇家達が沈黙する中、たった一人祭祀の伝統を守ろうとするかのように見える。
陛下は一人で国と民のために祈られている。その文明的価値の重みを深く理解する国民が
一人でも二人でも多くなることを心から願わずにはいられない。

  • 最終更新:2017-09-03 14:04:54

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