大公開!これが「天皇の料理番」の実像だ

大公開!これが「天皇の料理番」の実像だ
園遊会の黒子と知られざる皇室「専用牧場」
TBSテレビ『日曜劇場 天皇の料理番』取材班
2015年04月24日

園遊会。天皇皇后両陛下の主催で春と秋の年2回、東京・赤坂御苑で開かれる交流会だ。
この春は、4月21日に各界の功労者1800人程度が招かれた。
テレビのニュースなどで報じられる様子から、格式の高さや緊張感が伝わってくる。
それを裏側から支えるのが宮内庁大膳課。皇室の台所であり、陛下ら皇族の毎日の食事や晩餐会、午餐会、茶会など宮中行事の料理を作っている。
もちろん園遊会で振る舞われる料理も担当している。
TBSテレビは60周年特別企画として、大膳課の源流にある大正・昭和時代の宮内省厨司長を務めた、
秋山徳蔵氏の人生を描いたドラマ『日曜劇場 天皇の料理番』を、4月26日よる9時にスタートする。
直木賞作家・杉森久英原作のストーリーで、片田舎の厄介者がひょんなきっかけから料理に目覚め、天皇の料理番を勤め上げるまでを描いている。
一般庶民からみると、天皇家や皇族は遠い存在だ。
よくニュースで報じられている園遊会も、実際のところ、どんな会なのか一般的にはあまり知られていない。
「天皇の料理番」に迫った取材班から、園遊会や宮内庁大膳課の知られざる実像を紹介しよう。

園遊会に参加する人々とは?
園遊会に呼ばれるのはいったいどんな人なのか。
TBS報道局の宮内庁元担当記者によれば「多くは官庁や自治体の関係者」という。
ほかには閣僚や国会議員、各産業や文化芸術、社会事業などの分野の功労者などだ。
実は宮内庁が選ぶのではなく、各省庁からの推薦によってリストが決まる。
推薦にはそれぞれ枠があり定員が決まっていて、合計すると毎回1000人程度。
配偶者も招待されるので、出席者は2000人前後となる。招待状が届くのは、開催の約1カ月前。
招待者は当日、自分の名前と職業などを書いた名札を左胸に付けて出席する。
園遊会は、平たく言えば両陛下主催のガーデンパーティーだ。
春の空の下で約3時間、おいしい料理を食べて、飲んで、語り合う。
実際はそれほど堅苦しいものではない。決まりごともあまりなく、ドレスコードもモーニングや紋付羽織袴から背広と、かなり緩やか。
制服ももちろんOKで、警察官や消防士の制服姿も目にする。
女性はデイドレス、白襟紋付または訪問着などとあり、日中の屋外だけにきらびやかなフォーマルドレスなどは、かえって浮いてしまう。
招待客は午後1時頃から会場の赤坂御苑に入ることができ、新緑の庭園を思い思いに散策。
雅楽や吹奏楽の生演奏を聞いたり、用意された軽食や飲み物をいただいたり。
両陛下をはじめ、皇族が会場を回って一人ひとりに声を掛けられるのは、途中の1時間ほどだ。
一人ひとりといっても、招待者は約2000人もいるので、実際にお話ができるのはその中の100人から多くても200人だろう。
そして、皇族がお帰りになった後も会場は午後4時ごろまで開いているので、再び食事や散策を楽しむというのがだいたいの流れだ。

皇室の食事を一手に引き受ける「宮内庁大膳課」
園遊会で出される料理の指揮を執るのが、宮内庁大膳課だ。
国家公務員の組織で、一般公募はしておらず、欠員が出ると補充される。
現職や関係者などの推薦により受けて入るそうだ。
普段は「和食」「洋食」などの係に分かれ、それぞれが専門の料理を担当している。
ただ、園遊会のような行事があると係を越えて助け合い、有名ホテルの厨房にも協力を要請することもあるという。
TBS報道局で宮内庁を担当していた記者によれば、事務所はとてもシンプルで清潔な印象。
「天皇陛下はぜいたくなものを食べていらっしゃるのでは?」と思う人がいるかもしれないが、
実際はご馳走ではなく、ごくごく普通の料理を食べていらっしゃるという。
そんな宮内庁大膳課が園遊会に用意するメニューは毎回ほぼ同じで、
4月21日の献立は「オードブル、サンドイッチ、ちまき鮨、海苔巻鮨、ジンギスカン、焼鳥、
御料牧場生産品(ソーセージなど)、フルーツカクテル、洋菓子、クッキー、つまみ物」。
飲み物は「日本酒、ウイスキー、ビール、ポンチ、オレンジジュース、紅茶、日本茶、ウーロン茶」だった。
赤坂御苑の池の回り数カ所に模擬店のようなテントが張られ、そこで食べたいものを自由に取っていただくスタイルだ。
さすがにテントを渡り歩いてガツガツ食べまくる人はあまりいないが、唯一行列ができるテントがある。
各界の功労者や有識者が並んでも食べたいもの、それは……ジンギスカンだ。
これは知る人ぞ知る園遊会の名物で、使われている肉は一般には出回らない皇室専用の牧場「御料牧場」で育った子羊。
御料牧場とは、皇室の日頃の食事をまかなうための食材をつくっている。
羊、牛、豚、鶏が伸び伸び放牧されていて、野菜は約20種、すべて無農薬だ。
ヨーグルトやチーズ、牛乳、ハム、ソーセージなども作っている。
栃木県宇都宮市郊外の塩谷郡高根沢町から芳賀郡芳賀町にまたがる広大な土地で、
一般の人は立ち入ることができず、ここで作られた食材は市販されていないものの、
御料牧場の牛乳は宮内庁内の自販機で販売され、瓶のフタには御料牧場と記されている。
実際に飲んだ人の話を聞くと「味は普通」だとか。
園遊会で振る舞われるジンギスカンは、ひとり3~4切れずつを目の前でジュッと焼いて、タレをかけて渡してくれる。
肉の臭みがまったくないうえに、何年も前から仕込んでいるという野菜ベースの熟成ダレがまた絶品!
それも「天皇の料理番」である宮内庁大膳課の料理人が、
自分のために焼いてくれるのだから、味わいもひとしおだろう。
もし園遊会にお呼ばれする機会があったら、ぜひ召し上がることをお勧めする。

会話から天皇家の生活が垣間見られることも
さらに、前出の記者が取材をしていてよく感じたのが「陛下は会話がとてもお上手」ということ。
短いながらも親しくお話をされるのだ。
出席者の胸の名札に書かれた地名にまつわる話をされたり、
サッカー選手に「試合(の中継)が夜遅かったので見ていましたよ」と声を掛けられたり。
そのやり取りから、普段テレビをご覧になっている生活が垣間見られることも。
また一方で、震災などの被災地から来られた人には特に気にかけ言葉を掛けられるという。
園遊会も後半になってくると、飲み過ぎて酔っ払う人も出てくるが、
中にはずっとガチガチに緊張したまま、全然食べずに立っているだけという人も少なくない。
宮内庁から招待を受けるなんてめったにないことなので、それも仕方がないかもしれない。
http:// toyokeizai.net/articles/-/67620

  • 最終更新:2017-01-07 21:11:31

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