かくすればかくなるものと

選択 2013.07月号 
皇室の風 岩井克己 かくすればかくなるものと

「かくすれば、かくなるものと解っていただきたいと足を運ぶのだが、
世の視線が厳しくなっているということがなかなか解っていただけない・・・・」
かつて皇太子と直に語らった宮内庁幹部の嘆息を思い出す。
皇太子家に仕えたが雅子妃の信頼が得られないまま去った元側近は、
「殿下は解っておられるのでは。ただ、妃殿下と激しいやりとりとなるのは避けたいのだと思う」と語り・・・。

皇太子夫妻結婚20年の節目に、10年に及ぶ雅子妃の「体調の波」について、
ぜひとも夫妻あるいは主治医らから丁寧な説明や見通しを示すべきだと本連載などで書いてきたが、目立った反応はなかった。
メディアには元側近や友人らがコメントや手記を寄せたが、多くは具体性を欠く主観的擁護にとどまった。
批判的報道を「バッシング」「ステレオタイプの批判」と決めつけ抑え込もうとするかのような主張には、
皇室全体が傷つき危機的状況を抱え込んでいることについての真剣な顧慮や見識はうかがえず、腑に落ちる説得力はなかったように思う。
肝心の主治医からも一切説明はなかった。
本人とともに国民に向き合い、誠実に説明を重ねて理解を求めることこそ皇族を預かる主治医や
側近の心構えではないかと思うだけに遺憾なことだった。

皇太子夫妻のオランダ訪問の決定と発表の取り運びについて、
筆者は「不明瞭で稚拙だったと言われても致し方ない」と「ウェブ論座」4/30付で書いた。
学習院の学校行事には出席するが、各界の功労者を招く最大規模の宮中行事である園遊会は欠席し、
一方でオランダは訪問するという雅子妃の「体調」の矛盾の不可解さに、
国民の積年の疑問と不満が表面化しつつあると指摘し主治医の説明を促したが、空しかった。
オランダでは即位式典とレセプション一部への出席が実現し、雅子妃回復への期待が膨らんだ。
しかし外務省関係者とは接見する一方で、多くの一般在留邦人との接見は欠席。
そのうちの旧知の二人だけ呼び出して懇談する「選り好み」がみられた。

帰国後も「体調の波」は続いている。
皇后が名誉総裁を務め、皇太子妃にとっても最も大切な行事の一つである全国赤十字大会は当然のように欠席。
皇太子夫妻の重要行啓のひとつ「全国『みどりの愛護』のつどい」や
両陛下が皇太子時代から長年熱心に取り組み皇太子夫妻に後を託した青年海外協力隊員との接見も欠席。
アフリカ開発会議各国首脳夫妻との宮中茶話会、オランド仏大統領国賓歓迎行事、
晩餐会といった外国親善行事にも雅子妃の姿はなく、スペイン公式訪問も皇太子単独となった。
一方で学習院幼稚園再開園50周年記念式典や外務省の進講には夫妻で出席。
国立科学博物館「グレートジャーニー 人類の旅」展には「私的鑑賞」として取材をシャットアウトして出かけている。

6/16午前中の香淳皇后を偲ぶ命日の例祭に欠席、一方でスペインから帰国した皇太子の出迎えには車寄せに笑顔で姿を見せた。
6/18宮城県被災地訪問を直前でキャンセル。
今春以来、被災地訪問は何度か計画されてはキャンセルを重ねているという。

野村前東宮大夫のインタビュー
二年前、東宮大夫の定例会見で筆者は野村氏に
「皇太子妃は精神疾患を抱え、ほとんどの公務が皇太子単独となっている。
被災地訪問は夫妻そろってということにこだわっているように見えるがどのようなお気持ちからか」と質問した。
大夫は不快そうに
「殿下御一人でも行けと言いたいのですか。大災害お見舞いという重い勤めは両殿下で、というのは自然なお気持ちではないか」と答えた。
ほとんどの重要公務や祭祀が皇太子単独で常態化しているだけに違和感を覚えたし、今も違和感は解消されていない。
今回の宮城県訪問も、野村氏のインタビュー記事が掲載されたのと時を同じくしてキャンセルという皮肉な巡り合わせとなり、
皇太子単独での訪問という対応もされなかった。
この二年間、両陛下や秋篠宮家ほか他の皇族は何度も被災地に足を運んで避難所を訪れたり
復興・除染作業を励ましたりしているが、皇太子夫妻は一度も現地入りしていない。
雅子妃の被災地訪問は体調に負担なのか、なぜ皇太子は単独でも足を運ばないのか、東宮職は納得のいく丁寧は説明をすべきだろう。

他の皇族は公人中の公人として、体調が公務に影響を及ぼす場合はその都度、必ず発表し説明することが定着している。
元側近が登場して抽象的に「雅子妃は必ず快癒する」と援護射撃するのは、気持ちはわかるが筋違いで、
やはり主治医がきちんと会見して責任ある説明と見通しを丁寧に語るべきだろう。
公にしづらい事情もあることは筆者も把握している。公にすれば異論のある人もいるだろう。
周りは敵がいっぱいという心境なのかもしれない。
だとしても、病状・病態を覆い隠しつつ、後付けで言い訳を非公式なルートや特定の雑誌などで繰り返していても、
共感と信頼の輪は広がらないだろう。(敬称略)

  • 最終更新:2017-07-01 15:52:10

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