「雅子さま」報道 きつい表現、社会の反映か

特集ワイド:相次ぐ「雅子さま」報道 きつい表現、社会の反映か
毎日新聞 2013年06月26日 東京夕刊
最近、週刊誌で「雅子さま」を巡る見出しがひときわ大きく、目立って見える。
長引く療養期間やその振る舞いに投げかけられる疑問の声、そうした“バッシング”に反論する
「擁護派」の意見――なぜ今、こんなに「雅子さま」報道が相次ぐのか。【庄司哲也、小林祥晃】
◇病状の説明不足で関心の的に/均等法世代、悩み共通で目が離せず/悠仁さまのおきさき探しに悪影響
今年は皇太子ご夫妻のご結婚20周年、本来なら祝賀ムード一色でもおかしくない。
なのに、「美智子さまにはなれません…『挫折と自責』の3カ月」(女性自身、6月25日号)、
「雅子さまご成婚20周年 小和田家VS宮内庁書かれざる『6大事件』」(週刊文春、6月13日号)など、
雅子さまバッシングのような記事が相次ぐ。
なかでも週刊新潮6月20日号(13日発売)は「『雅子妃』不適格で『悠仁親王』即位への道」と
7ページの特集を組んだ。
「ついに『雅子妃に皇后は無理』の断を下した美智子さまの憂慮」などとしており、
宮内庁と内閣官房は13日「事実無根」と抗議、訂正記事掲載を申し入れた。
だが同誌は翌週の6月27日号でも「不適格」のタイトルの記事を掲載し、宮内庁が再び抗議した。
ライバル誌、週刊文春は6月27日号で「雅子さまもお見舞い 美智子さまがお心を痛めた『中傷記事』」と、
新潮の記事を取り上げた。
全国に65店舗を展開する紀伊国屋書店のデータでは、週刊新潮は今年4月以降、
6月20日号で初めて「消化率」80%を超えた。消化率とは、実際に書店に並んだ雑誌が
どれだけ売れたかを示す数字だ。
「編集者は消化率80%を目指して週刊誌を作りますが、最近は週刊誌離れが進みなかなか80%に届かない。
その中で新潮6月20日号は『売れた』と言える」。
そう話すのは月刊誌「WiLL」編集長の花田紀凱(かずよし)さん。
花田さんは週刊文春の編集長をしていた当時(1988〜94年)、頻繁に皇室を取り上げた。
「皇室は日本最大のスターです。それに加えて、雅子さまが病気になられ、公務から遠ざかってから
10年もたつのに詳しい説明があるわけでもない。
こうした状況が『どうなっているの』という関心の的になりやすい」と解説する。
美智子さまも批判されたことがあるが、今の雅子さまへの風当たりはそれをはるかに上回る。
特に新潮の「不適格」報道は、以前は考えられないほど過激だと指摘する。
「雅子さまをはじめ、ご本人たちは書かれた内容に直接反論できない立場だし、
無論こちらからも直接確認できない。私だったら『不適格』『退位』などの見出しはとても怖くてつけられません。
マスコミ側の自制が利かなくなっている」
さらに「(雅子さまは)皇室の中の『悪役』を一身に背負っておられる面があります」とまで語る。
いったい、何が原因なのか。
皇太子ご夫妻は4月下旬、オランダを訪問し、雅子さまは11年ぶりとなる海外公式訪問を果たした。
体調に波がある中で重要な公務を乗り切ったことで回復への明るい光が差し込んだかに見え、
宮内庁はご夫妻による東日本大震災被災地の訪問を検討。ご夫妻に肯定的な記事が相次いだ。
ところが、関係者によると当初6月中に予定されていた宮城県訪問は雅子さまの体調を考慮して延期に。
花田さんは「病気で国内の公務を休まれるのに、愛子さまの運動会に行く、
私的な会食はする、海外には行くといった姿が反発を招きやすい」と語る。
一方、「キャリアをとるか家庭をとるか、不妊や流産、高齢出産を巡るストレスなど、
雅子さまが直面してきた問題は、同世代の女性に共通する。
私も人ごととは思えず、つい感情移入してしまいます」と語るのは、
雅子さまと同じ63年生まれの作家、横森理香さんだ。
横森さんらは、男女雇用機会均等法の下で社会に出た「第1世代」。
米ハーバード大卒で元外交官の雅子さまは、同世代の輝く星だ。
男女の差なく「自分の意見や主張を持たなければならない」と考えてきたが、
上の世代に「生意気」とたたかれ、育児や家事で努力しても評価されない。
同世代の女性はそんな悩みを共有し、雅子さまの記事から目が離せないと言う。
「雅子さまは容姿も能力も非の打ちどころがない方。だからささいなことでもバッシングに遭う。
オランダご訪問が海外に行きたくても行けない庶民の気に障り、報道も同調したのでは」と推測する。
精神科医で、「<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている」などの著書がある香山リカさんは
「最近の雅子さまバッシングの背景には、生活保護受給者に向けられる不当に厳しい視線や
在日コリアンを汚い言葉で攻撃するヘイトスピーチの問題と同じ構造がある」と感じている。
「『自分がこれだけせいいっぱい頑張っているのにあの人は楽をしている』とか、
『正当じゃないお金をもらっている人がいる』といった不満を持つ人が増えている。
病気や事情があって役割が果たせない人や、弱い立場の人への共感や配慮ができない。
自分自身の心の余裕がなくなっているために、疑い深く攻撃的な感情が先に立ってしまう」という。
花田さんも「記事の表現などがどんどんきつくなっているのは、
インターネットに刺激的な情報があふれている影響ではないか」と語る。
ゆとりが失われた社会の反映ということか。
全く別の方向から、一つの見方を示すのが、皇室史や近代天皇制に詳しい静岡福祉大の小田部(おたべ)雄次教授だ。
新聞や雑誌に登場する識者や関係者の談話の分析などから、雅子さまバッシングの底流には、
憲法改正への動きがあるのではないか、と考えている。
「現在の皇室は天皇、皇后両陛下ともに現行憲法をとても大切に、尊重してこられました。
改憲を望む勢力には、そうした皇室の姿勢はあまり好ましくない。
しかし両陛下を批判することはできないため、男子の後継者をもうけていず、
皇室の中でお立場の弱い皇太子妃、雅子さまにいらだちが向かっている面があるのではないでしょうか。
その声を週刊誌がひろっている」
さらに、雅子さまバッシングは将来的に、秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまのおきさき候補探しを難しくし、
皇室の存続を危うくする恐れがあると懸念する。
「現行の皇室維持を望むなら、国民も温かい目で、雅子さまを見守ることが大切です」と、
国民の支持の重要性を説く。
やはり、雅子さまからは当分目が離せそうにない。
http:// mainichi.jp/feature/koushitsu/news/20130626dde012040047000c.html

  • 最終更新:2017-07-02 16:54:18

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